ブラックジャックのダブルダウンとスプリット

ブラックジャックといえばヒットとスタンドが基本的なアクションで、これらについては問題なく使いこなせる人が多いことでしょう。しかし「ダブルダウン」と「スプリット」に関しては別の話。一貫した戦略に従うことなく、自分の勘だけを頼りに決断するプレイヤーが少なくありません。中にはビビってしまってこれらのアクションを一切とらないという人もいます。

しかし実は、ダブルダウンとスプリットはカジノを打ち負かすための強力な武器。それだけでなく、長い目で見ると収益と還元率を最大化するために欠かせない重要戦略なのです。なので、実際にオンラインのライブブラックジャックテーブルに着く前に、ダブルダウンとスプリットをいつ行えば良いのかはしっかり覚えておきましょう。

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ブラックジャックのダブルダウンとは?

そもそもブラックジャックでのダブルダウンとは、何のことでしょう?「ダブル」は文字どおり、ベットを2倍にすることを意味します。その代わり、プレイヤーはあと1枚だけカードを引くという決まり。自分の手札の最初の2枚が配られた直後にだけ使えるアクションです。

ダブルダウンをブラックジャックで行う状況とは?

理論的には、もう1枚だけカードを引くことがたとえわずかでも勝率が50%を超えるという状況なら必ずダブルダウンするのが正解です。そして、それがまさにこのゲームですべきことなのです。では、その状況とは?

これらの状況は大きく2つに分類することができます:

  • プレイヤーが強力なハンドをつくる可能性が高い:ブラックジャックのルール上、最も多いのが10のカード(10、J、Q、K)。つまり、プレイヤーハンドの合計が9、10、11の場合はあと1枚引くことで非常に強いハンドができる確率が高いということになります。ちなみに9か10の場合はA(11)を引けばさらに強力なハンドができ上がります。
  • ディーラーがバストする可能性が高い:確率的に、ディーラーが4か5か6を見せている場合はプレイヤーに非常に有利な状況です。理由は、ディーラーがバストする可能性が高いから。プレイヤーの2枚の合計が9、10、11なら、必ずダブルダウンすべきなのは言うまでもありません。ではソフト13(Aと2)やソフト18(Aと7)の場合は?驚きですが、実はこれらも確率的にはダブルダウンが正解です(ただしソフト13対ディーラーの4は例外)。

ダブルダウンストラテジーチャート

では、ダブルダウンする状況を正確に決断するにはどうすれば?心配はいりません。すでに何十年も前に、頭の良い人たちが計算して正解を導き出しています。これらは「ブラックジャックベーシックストラテジーチャート」としてまとめ上げられています。

ブラックジャックベーシックストラテジーチャートのダブルダウン - ハードハンド


ブラックジャックベーシックストラテジーチャートのダブルダウン - ソフトハンド

記号: H = ヒット | S = スタンド | P = スプリット | Dh = ダブルダウン(できない場合はヒット) | Ds = ダブルダウン(できない場合はスタンド)

ダブルダウンに関するブラックジャックのルールバリエーション

プレイヤーのアクションに選択肢が多いほど、それだけルールはプレイヤーに有利。従来の「クラシック」ブラックジャックなら最初の2枚のカードがどんな組み合わせかに関わらずダブルダウンできます。それだけでなく、スプリット後でも許可されています。

しかしライブテーブルの中にはこれらのいずれかまたは両方を制限しているものもあり、その場合は還元率が0.15%~0.40%ほど下がってしまいます。一見すると大差ないように見えますが、長い目で見れば塵も積もれば山となります。実際に賭け始める前に必ずテーブルルールは確認するようにしましょう。

間違えやすいダブルダウンの正解

ブラックジャックでは、次に引くカードは常に10だと「みなして」プレイするのが定石。これは、ディーラーのダウンカードと次に引くカードにも共通します。したがって、一部の状況はダブルダウンすべきなのが誰の目にも明らかです。例えば、合計が9、10、11となるカードが配られてディーラーが4、5、6を見せている場合などがこれにあたります。

しかし毎回こんなに簡単に正解がわかるわけではないのがブラックジャックの面白いところ。ベーシックストラテジーチャートを詳しく見てみると、直感に反するアクションがいくつかあることにも気づくかと思います。これらの状況では直感的なアクションをとってもその差は数%以下というものがほとんどですが、長期的に見ると大きな違いになります。そしてブラックジャックに限らず、どんなゲームであってもこのわずかな差を拾い集めていくというのが勝つための鉄則です。ということで、直感に反するベーシックストラテジーをいくつか検証していってみましょう。

11は(ほぼ)必ずダブルダウン

ダブルダウンに最も理想的な状況が、2枚のカードの合計が11の場合。これはほとんどの人が直感的にわかることでしょう。では、ディーラーが10を見せている場合は?ためらってはいけません。怖がらずに必ずダブルダウンしましょう!

唯一の例外が、ディーラーがAを見せている場合。たとえダウンカードをチェックしてブラックジャックが入っていないことが確認された後でも、Aは非常に強力なカードです。この場合はダブルダウンせず、17以上になるまでヒットしていきます。

10の場合は少し警戒

ブラックジャックでは10も強力なスターティングハンドです。しかし11ほどではありません。ディーラーが2~9を見せていれば強気にダブルダウンですが、10だと踏みとどまる必要があります。理論上は引き分けを狙っていることになるからです。ディーラーのアップカードがAの時と同じく、17に達するまで大人しくヒットしていきましょう。ちなみにソフト20が配られた場合は、常にスタンドすることが正解です(詳しくは後ほど解説)。

9でのダブルダウン

9も比較的強いスターティングハンドではあるものの、10か11と比べると劣ります。したがって、ダブルダウンはディーラーのアップカードが3、4、5、6の場合に限定されます。ディーラーが2を見せている場合は「ヒット」するという点には注意してください。

ソフトハンドでのダブルダウン

Aと9以下のカード(もしくは複数のカードの合計が9以下となる場合)の組み合わせは、ブラックジャックでは「ソフトハンド」と呼ばれます。これに対し、Aが含まれないものとA+11以上の組み合わせはハードハンド。ダブルダウンに関してはソフトハンドの扱いが最も難しく、多少の経験があるブラックジャックプレイヤーでも間違いを犯しがちです。その理由は、普通のハードハンドとは全く異なる思考で臨まないといけないからです。

ハードハンドの場合はダブルダウンによって強いハンドをつくることが目的であるのに対し、ソフトハンドでのダブルダウンはディーラーがバストすることに期待して行います。

今回はソフトハンド用のベーシックストラテジーチャートを見てみましょう。ディーラーに5か6が入っている場合は、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8が全てダブルダウンだということがわかります。確かに20か21がつくれるカードもないわけではないものの、10が圧倒的に多いわけで、この戦略が強いハンドに育てることを目的としていないのは明らかです。

それでも、ディーラーが頻繁にバストすることでこのプレイが最も収益性が高いということは確率統計的に実証されているのです。ちなみに5と6ほど状況は多くないものの、ディーラーのカードが3か4の場合もダブルダウンする場面はいくつかあります。もう一度ストラテジーチャートを確認してみましょう。

ソフト19と20は必ずスタンド

ディーラーの3~6に対しては比較的「悪い」ハンドでダブルダウンする一方で、9としてカウントできるソフト19と、10としてカウントできるソフト20はスタンドが正解です(ちなみに最初の2枚でAと10の組み合わせはナチュラルブラックジャックなので「ソフト11/21」にはなりません)。これが最も直感に反する戦略かもしれませんが、ここは難しい研究を重ねた数学者たちを信じることとしましょう。

ブラックジャックのダブルダウンFAQ

ここではブラックジャックでのダブルダウンに関するよくある質問を簡潔にまとめてあるので、ぜひ参考にしてください:

サイドベットではありません。ダブルダウンはあくまでアクションの選択肢のひとつではあるものの、プレイヤーに有利な状況では必ず行うべきものです。

ハンドの最初のアクションでベットを2倍にすることができます。その代わり、カードはあと1枚だけしか引くことができなくなります。

スプリット後のダブルダウンができるかどうかは、それぞれのテーブルルールによって異なります。従来の「クラシック」ブラックジャックテーブルでは許可されていますが、ライブディーラーゲームではできないのが一般的です。例えば業界トッププロバイダーのEvolution Gaming(エボリューションゲーミング)ではスプリット後にダブルダウンができるブラックジャックテーブルをリリースしていません。

過去にはランドカジノやオンラインRNGブラックジャックでヒット後のダブルダウンを許可する変則ルールを採用していたテーブルもありましたが、現在はほぼ絶滅しています。ライブブラックジャックテーブルでこのルールを採用しているものはありません。

理論的にはできてもおかしくないはずですが、プレイヤーにとっては非常に不利なプレイとなります。ライブブラックジャックでは時間を節約するため、自動的にナチュラルブラックジャックとして処理されます。

ダブルダウンすべきハンドは2種類あります。ひとつが非常に強いスターティングハンドで、もう一方がディーラーが弱いカードを見せている場合のソフトハンドです。詳しくはこのページの"ダブルダウンをブラックジャックで行う状況とは?"をお読みください。

ブラックジャックのスプリットとは?

スプリットはダブルダウンとインシュアランスとともに、ブラックジャックでオプションとして選択できるアクションです。必ず損するため絶対に選択してはいけないインシュアランスとは異なり、スプリットは正しい状況で使うことでブラックジャックで勝つには欠かせない重要な戦略です。

それでは早速、スプリットとは何なのかを解説していきいます。スプリットは最初に配られた2枚のカードがペアだった場合にとることができるアクションです。プレイヤーはここでベットを2倍にすることで、最初の手札を新たに2つのハンドに分割します。新たな2つのハンドはその後、普通のブラックジャックハンドと同じようにそれぞれプレイしていくというものです。ちなみにディーラーハンドがスプリットされることはありません。

ブラックジャックでスプリットを行うべき状況は?

ダブルダウンと同じく、わずかでもプレイヤーの勝率が高い場面では必ずスプリットするというのが正しい戦略です。では、その場面とは?

答えは少し複雑です。まず、必ずスプリットするペアが2種類。他に、絶対にスプリットしてはいけないペアも2種類あります。ただし、この4種類以外のペアは、ディーラーのアップカードによって判断することになります。まずは、覚えやすい4種類のペアがこちらです:

Aまたは8のペア:必ずスプリット

2か12としてプレイを続けることはせず、Aは常にスプリットして10を引きにいきましょう。ただし、Aのスプリットに関しては例外的なルールが適用され、1枚だけしかカードを引くことはできません。また、10を引けたとしてもナチュラルブラックジャックとしては考慮されず、配当は1.5倍ではなく1倍だけとなります。

続けて、8のペアの場合。16はブラックジャックで最悪のハンドです。迷わずスプリットして、それぞれ8から始めましょう。ディーラーがAや10といった怖いカードを見せていたとしても、ビビってはいけません。

10または5のペア:絶対にスプリットしない

ブラックジャックでは10、J、Q、Kは全て10としてカウントされ、例えば10とKの組み合わせでもルール上はスプリットが可能です。ただ、その場合はすでに強力な20というハンドができ上がっているということ。欲張らずに、そのままスタンドするのが正解です。

5のペアも、似たような論理でスプリットしません。10も20と同じように、スターティングハンドとしては理想的。したがって、普通の10と同じようにプレイを続けます。それはつまり、ディーラーが10かAを見せていない限りは必ずダブルダウンするということ。

ペアストラテジーチャート

上記以外のペアに関しては、ストラテジーチャートの利用が必須です。普通のベーシックストラテジーチャートとは別にペア専用のチャートも考案されているので、そちらを参考にします。

ちなみに下のチャートはオンラインライブブラックジャックで最も一般的なスプリット後のダブルダウンができないテーブル用のものです。ルールが異なる場合は一部でスプリットする/しない個所が違ってくるので注意してください。

ブラックジャックのベーシックストラテジーチャート - ペア用

記号: H = ヒット | S = スタンド | P = スプリット | Dh = ダブルダウン(できない場合はヒット) | Ds = ダブルダウン(できない場合はスタンド)

スプリットに関して異なるルール

ダブルダウンのルール同様に、テーブルやプロバイダーによってはスプリットに制限をかけているものがあります。

ライブブラックジャックゲームで一般的になったのが、スプリット後のダブルダウン禁止。特にEvolution(エボリューション)は全てのテーブルでこのルールを採用していて、0.15%と差はごくわずかながら、還元率が下がってしまいます。

他には、スプリットできる回数が制限されていることもあります。この場合は再スプリットが一切できないか、1回までに制限しているものがあります。

スプリット後のダブルダウンが許可されている場合の戦略の違い

運良くスプリット後のダブルダウンと再スプリットに制限を設けていないテーブルを見つけることができたとしましょう。その場合は、同じストラテジーチャートが使えるんでしょうか?

「再スプリットできる回数」に関しては、心配いりません。何度スプリットしても、戦略は一切変える必要がありません。

これに対して「スプリット後にダブルダウンできる」場合は、少し手を加える必要があります。当然ながらこれらは、それぞれスプリットした方がわずかながらプレイヤーエッジを得ることができる場面だということになります。以下が変更される点です:

  • 2のペアをディーラーの2または3に対してスプリット:ディーラーの4~7に対しては常にスプリットする2のペアを、ダブルダウンができる場合はディーラーの2と3に対しても行います。
  • 4のペアをディーラーの5または6に対してスプリット:ディーラーが5か6を見せているのは、ブラックジャックでは理想的な場面。8を崩すことにはなりますが、なんとかダブルダウンできるカードを引いてとことんむしり取りにいきたいものです。
  • 6のペアをディーラーの2に対してスプリット:これが一番不思議に見えるかもしれません。しかし数学的にはこれが最適解です。

ブラックジャックのスプリットFAQ

以下がブラックジャックのスプリットに関するよくある質問です:

オプションではありますが、必ずマイナスエッジとなるサイドベットとは本質が異なります。これは、場面によってはスプリットすることで勝率を上げることができるため。裏を返せば、状況によっては必ずスプリットしないと損することになります。

スプリットはペアが配られた時にだけ選択できるアクションです。ベットを倍にすることで手札を2つのハンドに分けることができ、その後は2つの独立したハンドとしてプレイします。

スプリットできる回数はテーブルルールによって異なります。従来のブラックジャックテーブルでは無制限にスプリットできるのが常識でしたが、現在はオンラインのライブテーブルを中心に再スプリットを不可にしているか1回に限定しているものが一般的です。ただしAだけは昔も今もスプリットは1回だけに限られています。

Aをスプリットした後に10を引いたとしても、ナチュラルブラックジャックとはみなされません。したがって普通に21で勝った場合と同じく、1倍の配当が支払われます。

ルール上は可能です。ただし戦略としては不正解で、長い目で見ると負けを重ねることになります。おとなしく20でスタンドしましょう。